デンソーウェーブによって開発されたQRコードは、決済サービス,情報通信、様々な場面で使用され、生活に欠かせないプラットフォームとなりました。
しかし、改ざんが比較的容易、カメラをかざす必要がある など、いくつか問題点も指摘されています。
今回は”音”を使用した、『音通信』を見ていきたいと思います。
『音通信』とは
『音通信』(あるいは『音認証』)は、人間の非可聴領域の周波数を使用した認証技術です。
振幅,振動数,位相 を用いて情報通信を行います。
マイク,スピーカーはほぼ全てのスマホに標準搭載されており、新たにハードを導入する必要がありません。目に見えず、また聞こえない音であることから改ざんが難しく、個人認証が容易という利点もあります。
カメラをかざす必要性がないため、一体多の情報通信も可能です。
他認証技術を見てみましょう。
QRコードは生産,読み取りも容易ですが、改ざんも同じく簡単に実施できます。またコードをカメラで読み込む必要があります。
日本発売のPixel3に導入されたFeliCa。読み込み時間も1秒未満で確かに便利ですが、全てのデバイスに導入されておらず、また ほぼ日本でしか使用されていない”ガラパゴス化”が危惧されています。
ハードは常に進化し、採用デバイスにも依存します。新型iPadと、2019年以降に販売されるiPhoneはLightning端子を撤廃します。これによって割を食う部品メーカーも多いでしょう。
ハードの進化を追い求める姿勢はもちろん大切ですが、グローバル・スタンダードとなり得るには、既存技術でどう実現されるか、という方向性も必要でしょう。
『音通信』技術事例
2015年には、LINEに超音波を用いた連絡先交換が搭載されました。
Googleがインドで展開する決済サービス「Tez」は、音通信を採用しています。
インドは人口が多く 市場規模に期待できますが、広い国土に新規ハードを行き渡らせることは容易ではありません。高額紙幣が廃止されたことも後押しし、急速にデジタル決済が注目されました(紙幣廃止によって、却って経済が低迷したとの報道もありますが…)。
日本では、スマート・ソリューション・テクノロジー社(以下、SST)がこの分野でリードしています。Zeetle(ジートル)は、SSTが提供する 音通信を利用したデータ通信,ポイントカードサービスです。
Zeetle – 連絡先を一括送信 写真もクーポンも
posted withアプリーチ
2018年11月には、1000万DLを突破し、UIがリニューアルされました(ニュースリリースより)。
余談ですが、機内モードではZeetleによるデータ送信はできません。つまり音がデータを実際に送信しているわけではなく、ネットワーク経由でデータを受信するためのアクセスリンクが生成されるものと思われます。(少し調べたところ、”音”だけで送られる情報量に限界がある,環境に影響、つまりデコードの精度が距離減衰や周囲ノイズに影響される 等 問題があるようです。)
日本では、今のところ決済サービスには導入されていません。
まとめ
スマートスピーカーやオーディオブックの普及で、”音”に対する注目度が近年上がっています。
視覚情報は既に飽和気味なのかもしれません。今後の音による認証技術の発展に期待したいです。