先日に引き続き、認証技術を見ていきます。今回は『光ID』です。
『光ID』とは
『光ID』は、LED光源の高速点滅によって発信されるデジタル信号を利用した技術です。
イメージとしては、モールス信号に近いでしょうか。人間の目で感知できない高速点滅を用いるため、スマホ等のカメラ機器を使用します。
Panasonicが開発した「LinkRay」が、もっとも有名です。
分類としては視覚情報に該当しますが、人間の目では感知できないため 様々な情報を盛り込むことが可能です。公式ページでは、交通機関での多言語サービスや、美術館・博物館での展示説明の例が紹介されていました。
音認証と比べ、伝達距離が長く、またノイズ干渉に強い特性があります。照明に直接組み込むことが可能で、受信側も通常のスマホカメラで十分と、ハード側の導入障壁も比較的低いです。
QRコード,音認証と同じく、ID付与し、ネットワーク経由でコンテンツを受信する形態をとっています(つまりオフラインでは使用不可)。現在の技術では、可視光通信でも100Mb/sレベルの通信速度は実現されているようです。ただ、そのような大容量通信には専用送受信機が必要で、スマホを媒体とする場合ではID付与が一般的とのこと。
『光ID』技術事例
上でも挙げた「LinkRay」は、水族館や美術館など いくつか導入事例があるようです。
特に需要が大きいのが多言語化。看板に複数言語を併記するには、スペース的にもデザイン的にも限界があります。限られたスペースで伝えられる情報量も少ないでしょう。
2018年11月5日より、CCCマーケティングは LinkRayを活用した「光スタンプ」を、同社が提供するアプリ「スマホサイフ」内でリリースしました。
スマホサイフ – ポイントカードまとめアプリ
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紙のスタンプカードと異なり来店状況を可視化できるため、小規模店舗で顧客データ活用に期待されています。
余談:CCCマーケティングは、SBI証券と連携し、同社が運営するTポイントを使用した投資サービスを来年より開始することがアナウンスされています。楽天ポイント投資に対抗する形となり、多くの店舗と提携するTポイントの強みを活かせるか期待です。
まとめ
『光ID』および、活用事例を調べてみました。
技術的に特に欠点らしい欠点はなく、Panasonic主導で活用展開しているものの、まだまだ導入事例は少ないように感じます。
個人的見解を述べると、光IDのように”見えない通信”を 顧客側に知らしめる点が難しいように感じました。QRコードは決してデザイン性に優れているとは言えませんが、ひと目で”QRコード”と判別されます。結局、「光ID」があることを知らせる表示が必要となるため、コンセプトが崩れてしまうのでは。
ただ、この問題は認知度が高まることで解消されるでしょう。「光IDを受信可」の共通アイコンがあると良いのかもしれません。