ジョジョはサスペンスである『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』

 

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ 作者で知られる荒木飛呂彦先生の著書『荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟』の感想です。

私もご多分に漏れずジョジョファンです。
特に第四部のファンで、「日常に潜む恐怖」と評される通り、普段の生活を少し外れたところにファンタジーやホラーが出現する要素が好きですね。

前の記事 映画『ゲット・アウト』も、一見普通に見える家族が実は……な映画です。

普通に生活を送っていても、ふとした拍子にそちら側に行ってしまうような恐怖,ドキドキ感。そんな作品に触れた後は、普段の代わり映えしない日常のありがたみをしみじみと感じます。

映画の面白さは「サスペンス」にあり

ジョジョの魅力は、デザイン,人間賛歌のテーマ,キャラ,擬音 など様々ですが、私個人はストーリー展開の比重が大きいと思っています。

なにか変だぞ→敵のスタンド使いが襲ってくる→スタンド能力や状況を駆使して敵を倒す」。

ジョジョは ほぼ全て場合、最初は敵の先制攻撃から開始、つまり非日常への転落が生じます。そこから力と知識を駆使して謎を解明し、敵を倒す。要素を抽出すると 毎回この流れなんですが、個々のストーリー展開は全く異なっています。

砂漠にしても暑すぎる、全く背中を見せない建築士、3つしか物事を記憶できない…などなど。全て「何か変」から始まるんですよね。

荒木先生は本書の冒頭で、「サスペンス」の魅力を存分に語っています。面白いと感じる要素は人それぞれですが、荒木先生 ひいてはジョジョという作品は「サスペンス」に重きを置いているそうです。

荒木先生のいう「サスペンス」では、「謎」がもっとも大切な要素となります。「謎」あるところにサスペンスあり。「謎」とは事件の犯人・真相にとどまらず、「何かおかしいな」全てに適用されます。まさにジョジョですね。

漫画の魅せる手法は、かなり映画を参考にしているそうです。映画で学び、漫画に生かしているわけですね。本書を読んでいると、かなり客観的に映画を分析して鑑賞されている点に驚きます。

プロフェッショナルは格好良い

本書で特に共感を抱いたのは、「プロフェッショナル」の部分ですね。

ジェイソン・ボーンがあらゆる技術を駆使して状況を切り抜ける。『96時間』でニーソンが人身売買組織を追い詰める。『キックアス』のヒットガールが敵をバッタバッタと打ち倒す。

現実は そこまで完璧な技術をもったスパイはいないでしょうし、仮にいたとしても状況的にうまくいかない場合もあるでしょう。しかしフィクションの「プロフェッショナル」は、困難をいともたやすく切り抜けます。何より躊躇がないのが良いのです。

躊躇がないと言えば、(「プロフェッショナル」像とはかけ離れますが、)デッドプールですね。彼の場合 不死身の肉体がそうさせるんですが、ばっさばっさと敵を薙ぎ払っていくのは格好良いし、スカッとします。

ジョジョだと、第五部の暗殺チームがそうでしょう。自身の能力に裏打ちされた絶対の自信と執念深さに魅せられます。個人的には第三部のホル・ホースも同カテゴリかと思っています。のらりくらりとしているけど、淡々と任務をこなす仕事人タイプ。(ボインゴとのコンビ時は、ちょっと違う気がしますけど笑)

・・・

「プロフェッショナル」は何も特殊部隊やスーパーヒーローに限りません。

ブラック・ジャックは無免許ながら、並外れた外科手術能力を持っています。『アイアンマン』のトニー・スタークは、超一流のエンジニアでもあります。

いとも簡単に困難を解決する姿は、あつかう対象が何であれ尊敬しますし、何より格好良い!!

まとめ

漫画家という独自の視点で映画を評している本書。荒木先生の確固たる価値観と映画愛が垣間見えます。

映画レビューサイトなどで見かける感想とはひと味違った映画評を楽しめますので、ジョジョファンのみならず、映画ファン・エンタメ好きの方も楽しめる一冊です。

『超“偏”愛』の看板に偽りなしですね。