映画『きっと、うまくいく』感想(ネタバレあり)

 

週に一本は映画を観よう!

今回はインド映画、「きっと、うまくいく」の感想です。

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※管理人が鑑賞したときは無料で公開されていましたが、無料対象は定期的に入れ替わるため注意してください

インド映画との出会い

インド映画をはじめて鑑賞しました。インド映画の知識は「すごく踊る」こと。馴染めるか不安だったのですが、ミュージカル映画のような感じで気にはならなかったですね。

異国の価値観は、日本人の価値観とは異なるものと無意識に感じてしまいます。実際その通りなところはあるでしょう。しかし映画やTV番組を観ると、万国共通の普遍的な価値観があることを思い知らされます。

『きっと、うまくいく』では、親の期待を一身に背負い、自分の人生が決定づけられた青年の苦悩が描かれています。

 

簡単なあらすじ

ランチョーは卒業以来、姿を消してしまった。そんなランチョーの消息を掴んだという情報が、ファルハーンラージューの元にもたらされた。両名はランチョーの親友であり、またランチョーに自分の人生を大きく変えてもらった。情報の発信者はチャトル(通称サイレンサー)。学生時代、ランチョーと成績を争った優等生。チャトルは優秀だが、物事の本質を突き詰めない暗記型。対してランチョーは大胆な発想力と工学に対する情熱をもっており、詰め込み型の教育に疑問を持っている。

チャトルは学生時代 ランチョーに恥をかかされて、大人になった後 どちらがより大成しているか競争を誓ったのだった。ファルハーン,ラージューはそんなことは忘れていたのだが、チャトルと共に親友の捜索へと向かう。

物語はファルハーンの視点で進み、学生時代の思い出,現代でのランチョーの捜索という2つを軸に進む。

 

↓ 以下、作品のネタバレを含みます。


心躍る内容でした! 

観た後に感想を書きたくなるという触れ込みの通り、誰かと熱い思いを共有したくなります。

 

コメディとシリアスの塩梅が見事!

基本的にコメディでお話は進んでいきます。が、ドローンでジョイ・ロボの自殺を発見する点や、ラージューの飛び降りなど、お話の緩急が素晴らしかったです。ずっとコメディ調だとテンポに疲れていたことでしょう。

ラージュー飛び降りには 彼の友情の深さが感じられました。自分とランチョー、どちらを売るか?究極の命題で、決して選択することはできません。結局 彼が選んだのは自殺の道。印象的なシーンです。

退院後のラージューの面接シーンも良かったですね。吹っ切れたラージューが淡々と面談をこなす姿が、どこか格好良かったです。合格を言い渡され涙を浮かべるラージューにグッと来ました。

一番感情移入したのはラージューかもしれませんね。苦学生で家族の期待を一身に背負っているが、成績は芳しくない。本人が工学を愛しているからこそ、余計に成績が悪いことに落ち込んでしまう。人間味を強く感じます。ランチョーは天才肌で、どこか浮世離れしているのでw

ですがランチョーもピアの前では人間味が姿を表します。ラストシーンでのやり取りなんかは微笑ましかったですよ。卒業から10年ということで、二人共は良い大人なんですけどねw

伏線が見事!

ラストシーンの夢での再現はもちろん、何気ないセリフの一端にも伏線が散りばめられています。「これは伏線だろうな」と感じることも少なくはないのですが、違和感なく持ち出してくるのでイヤミったらしさはなかったですね。

映像が見事!

大学の講堂、市街地、ランチョーの生家 シムラー、そしてラストシーンの湖(調べたところパンゴンツォという、有名なインドの秘境らしいですね)と、美しい景色が続きます。インドの広大な自然を縦断していくロードムービーも面白そうですね。

かなり多角的なカメラ角度を使用していたように思います。シーンと同じく映像にも緩急がありました。

・・・

個人的にはチャトルがちょっと可哀想に感じるところも…。確かに嫌味なヤツですけど、人一倍負けず嫌いで勉強熱心。ランチョーも述べている通り、彼もまた社会制度の被害者です。嘘のスピーチをさせられたところは、少しランチョー達はやりすぎだとは思いました。(テスト期間中に、他学生の邪魔をする点は擁護できませんがw)

チャトルが「現実」の代弁者だからこそ、ラストでランチョーと和解してほしかったです。あそこでチャトルが謙ると 「ランチョーという天才肌の人間には結局敵わないよ」となり、テーマ性がブレてしまう気がしました。

一方 ウィルス学長とランチョーの和解シーンは良かったです。鉛筆の件で間違いがあることも諭しつつ、ペンを贈る。本作で一番の感動を覚えました。卒業式でのランチョーとの一幕が微笑ましかったですね。


本作でランチョーを演じたアミール・カーンは、なんと撮影当時44歳だったそうです!確かに学生にしては少し老けては見えますけど、まさか40代だったとは…。若々しいですね。

ファルハーンのR・マドハヴァンは39歳、ラージューのシャルマン・ジョシは30歳と、両名も若い役柄を演じています。うーんインド恐るべし。


はじめてのインド映画、すごく楽しめました。

同じくインド映画の『スラムドッグ・ミリオネア』も観るつもりです!

管理人のおすすめ度:☆☆☆☆★ 4/5点!!