週に一本は映画を観よう!
今回は2017年に公開された映画、「3月のライオン」の感想です。
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※管理人が鑑賞したときは無料で公開されていましたが、無料対象は定期的に入れ替わるため注意してください
原作をうまくまとめた良作
羽海野チカ先生原作の漫画を実写化した今作。
漫画実写化は何かと言われがちですが、今作のキャラ再現は違和感なく かつ1つの作品として非常によくまとまっていると感じました。
監督は大友啓史 氏。同じく漫画原作の「るろうに剣心」も好評でしたね。
↓ 以下、作品のネタバレを含みます。
原作比ドロドロ度10倍増 & 後編怒涛のオリジナル展開!
私は原作既読です。原作も人間関係が割とドロドロしています。が、3月のライオン(というより羽海野チカ先生)特有の詩的なモノローグがない分、映画版は余計にドロドロを感じました。※当社比
↑余談ですが、原作4巻の表紙が個人的にお気に入りです
原作と比較して 作品内での香子の存在感が大きく、彼女のキャラクターの強さもあって余計にそう感じるのでしょうか。3月のライオンの中で、もっとも感情を顕にするのが彼女ですからね。
香子は今をときめく有村架純さんが演じています。ほとんどTVドラマを観ない私にとって、有村さんはCMでの清楚可憐なイメージが強かったです。しかし、香子のヒステリックな感情を見事に表現しており、良い意味で大変衝撃を受けました。
映像もわりと暗めに作られているように思いました。前篇のクライマックス、山崎順慶 戦では闇カジノのような暗い雰囲気で戦っていましたねw
その分 後編ラスト、宗谷冬至 戦の舞台が非常に美しく映えていました。調べてみると、ロケ地は山形県の立石寺のようです。松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を詠んだことで有名だそう。
句の通り、圧倒的な静寂・情景の中、どちらが勝つにせよ 桐山,宗谷 両者とも全てを出し切る熱い戦いが繰り広げられるのでしょう。爽快感と将来への展望を期待させる良いラストでした。
映画の構成を見ていきます。
前篇は、いくつかの原作エピソードが時系列バラバラで入り混じっているものの、台詞回し含め ほぼ原作準拠の内容でした。
一転後編は、原作エピソードを踏まえつつ、義理の父 幸田の入院、後藤の入院中の奥様の死、後藤と桐山の対戦 および桐山の勝利、タイトルをかけて桐山と宗谷の対戦と、オリジナル展開で進みました。
そのため原作と性格が異なって見られるキャラクターもいました。特に後藤が顕著でしたね。より攻撃的で感情が表に出ていたように思います。
川本家を出ていった誠二郎のエピソードは、桐山の勝利・将棋への執着の動機づけに使用されました。映画では川本家から”見放された”ように、演出されていました(あくまで桐谷が一方的にそう感じただけのようにも見えますが)。原作版は川本家と桐山が周囲を巻き込み、共に問題を解決していくような構成でした。
ひなたのいじめエピソードは、映画全体の構成から考えると不要のようにも感じましたが、あれがないと誠二郎エピソードでの婚約者宣言が唐突過ぎますねw。桐山にとって川本家がいかに重要かを示すためには、どうしても挿入せざるを得なかったのでしょう。
その分 後編では二階堂,島田八段の出番が少なくなってしまい、ちょっと残念。まあ構成上しょうがないですね。
俳優陣は大変豪華です。
主人公桐山は、人生を達観し冷めているようで、世間知らずで唐突に感情を爆発させる、中々難解複雑な性格をしています。演じられたのは、ご存知ヒット請負人の神木隆之介さん。
さすがさすがの名演でした。印象的だったのが、安井(前編で登場した、アルコール中毒気のある離婚間近の棋士です)戦後、走り出した後 公園?で鬱憤を吐き出すシーン。原作ではもっと叫んでいるような印象を受けましたが、映画版の神木さんは、嗚咽が入ったような切なげな感情がこもり、より”リアル”な感情爆発に感じました。普段大声を出さない人は咄嗟に叫ばないですからね。
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桐山のライバルであり親友の二階堂は、染谷将太さんが特殊メイクで演じています。前情報無しで観たので、最後のクレジットまで染谷さんとは気づきませんでした。特殊メイク恐るべし。。w
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後に桐山が研究会に加入する、島田八段は佐々木蔵之介さん。本当にぴったりで、漫画から飛び出てきたようでした!出番少なめなのが残念ではあったものの、存在感は随一でした。
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川本家の次女 ひなたは、清原果耶さん。原作のひなたは小柄で、モデル体型の清原さんとはイメージが離れていますが、いじめに毅然と立ち向かう力強さ、家族には涙を見せる年相応の弱さを兼ね備えた ひなたを魅力いっぱいに演じられています。
清原さんはオロナミンC、ソフトバンクの新CMに起用など、2019年大注目の女優さんですね。
その他にも、林田先生は高橋一生さん,義理の父 幸田は豊川悦司さん,誠二郎は伊勢谷友介さん,スミス(三角 龍雪)は中村倫也さん と豪華なメンツが脇を固めています。
原作のエピソードをうまく絡めつつ、原作ファンにも違和感がないオリジナル展開でまとめる良作でした!
将棋という小さな盤面に人生をかける 個性豊かな棋士たちが大変格好良いとともに、人と人との繋がりは誰にとってもかけがえのないものなんだと再認識させられます。
ストーリー,俳優陣の演技にはなんの文句もないものの、日本映画特有なんでしょうか、BGM,台詞の音量バランスをどうにかしてほしい…。
演出と言われれば反論しようもないのですが、台詞が聞き取れないことに意識が持っていかれ、ストーリーへの集中を削がれてしまいます、、
管理人のおすすめ度:☆☆☆☆★ 4/5点!!