言語はいかに我々の考えを形作るのか(TED)

 

 

思考は言語を介して形成されます。

同じ人間であっても言語が異なれば、思考言語も異なるということです(言語相対論)。

我々の考えは我々自身のものです。しかし基盤である言語そのものに支配されていることを忘れてはいけないのかもしれません。

概略

物事の方位は、一般に自分を絶対基準として考えます。左右,前後といったようにです。

しかしアボリジニのクウク・サアヨッレ族は、位置関係を東西南北で表現するそうです。〇〇はここから北東にある。アリの南西脚が折れている、などです。これにより、なんとクウク・サアヨッレ族の人々は方位磁石もなしに、東西南北が容易に判断できるそうです。

まったく見知らぬ土地、もしくは室内環境で、我々は同じことができるでしょうか。

これは言語による認知能力の相違の一例です。

『記号創発ロボティクス 知能のメカニズム入門』では、複数の物体の特徴量を読み取れるセンサーをもったロボットは、人間と遜色ない分類をできると述べていました。

すなわちロボットと人間で、ハードとしての性能が同じであれば、認知も同様になるという結果です。

私とクウク・サアヨッレ族では、おそらく外界をセンシングする機能にほとんど違いはないでしょう。にもかかわらず、言語が異なると認知能力が変化するというのは驚きです。


他にも、

  • 時間の捉え方
  • 数量
  • 男性・女性名詞の影響
  • 物事の捉え方(受動態,能動態)

の認知にも、言語は影響すると述べています。

思考の形成

よく日本人は集団生活を尊び、間違えることを恐れると言われます。このような民族間の特徴は、歴史・文化・環境によって醸成されてきた面も大きいと思いますが、言語の影響もあるのではないでしょうか。

普段何気なく行っている「考える」という行為。日本人である限り、今更他言語に移し変えることは難しいでしょう。

しかし、物事を頭の中で図解しながら思慮すると、認識能力が上がると聞いたことがあります。言語というプラットフォームが変えられないのであれば、思考形態を変えることで、能力の向上が図れないかと妄想します。