驚くほど魅惑的な腸のサイエンス(TED)

 

 

人は食べ物に興味は持っていても、栄養を吸収し、不要なものを体外に排出(排便)を担ってくれている「腸」にはあまりにも無関心です。排便はあまつさえ一般に下品なものとされています。

本記事では、そんな「腸」に魅せられた医師・作家であるジュリア・エンダースの講演についてご紹介します。

概要

括約筋には、外肛門括約筋と内肛門括約筋の2種類があります。外括約筋は自分の意志でコントロールでき、便がもれないように「締める」ことができます。一方 内括約筋は自律神経がコントロールする筋肉です。

便はまず内括約筋に到達し、内括約筋は反射的に 便を試しに通過させるというのです。ここには感覚細胞があり、運ばれてきたモノを分析します。この情報が脳に伝達され、「便意」として脳が判断をくだします。2chコピペ 肛門「よし通れ!」はこの感覚細胞を指しているのですね(笑)

お腹がゴロゴロ,グルグル…鳴って恥ずかしい思いをしたことは誰にでもあるでしょう。この音は小腸が腸内を洗浄している音だそうです。これにより腸内の大部分は臭いがしなくなります。お腹の鳴りは健康の証しなんですね。


脳と臓器には密接な連携が必要です。脳は司令塔であるため、身体の各状態をきちんと把握しておく必要があります。脳と腸を繋げる神経線維のうち90%は、腸⇨脳に情報を伝えているそうです。腸は栄養,免疫細胞の状態,血中ホルモンの情報を集めているため、脳にとってもっとも重要なアドバイザーです。

脳に伝えられた情報は、言語野や視覚野には到達しませんが、倫理性や恐れなどの感情処理領域,自己認識領域には到達します。科学的にはまだ明らかではないのですが、過敏性腸症候群などの病気をもつ人たちが、不安症や鬱になるリスクが多いのは、このためかもしれないと述べられています。


最後に細菌についてです。本当の清潔さとは、全ての細菌を死滅させることではありません。ほとんどの細菌は人間を傷つけず、むしろ人間の役に立っています。悪い細菌も免疫システムには必要です。

これに関連付けて、「人生の衛生」として講演はまとめられています。ひとつの「悪いもの」に後悔するのではなく、むしろ全体として「良いもの」を助長するように意識を向けることが大切です。

体の仕組みと人の意識

私たちの体の仕組みの大部分は、私たちが意識せずとも機能しています。だからこそ、私たちは腸のはたらきに無関心だと言えるのかもしれません。脳が判断を下さなければならない、ある種 重要な情報は感覚として脳に取り入れられます。例えば痛みを感じない無痛症の方は、体に重大な影響をもたらす外傷に気付かないで死に至るケースもあります。

人間の体は、この地球で存在していくことに対して非常によくできていると改めて感心します。が、過信は禁物です。一酸化炭素のように無色無臭で私たちの感覚器では検知できませんが、死に至らしめる気体も存在しています。だからこそ、「知識」という人間ならではの武器を磨く必要があると考えます。