やる気に関する驚きの科学(TED)

 

久しぶりのTED記事。今回はダニエル・ピンクの「やる気に関する驚きの科学」です。

優秀な人材を集めるには金銭的報酬が必要です。しかし 人のやる気に金銭は必ずしも有効ではないようです。

外的動機づけは時代遅れ?

「成果を出した人には報奨を出す」

資本主義のごくごく一般的な考え方です。部内表彰から、ノーベル章に至るまで あらゆる場面で見られます。

ただ、報奨が栄誉ではなく金銭になると、クリエイティビティが阻害されるとダニエルは言います。

これは直感に反しますね。ボーナスを得るために、創造性を発揮できそうなものです。しかし金銭的報酬は視野を狭め、却って全体のパフォーマンスを下げてしまうようです。

答えのある問題に対しては、報酬は有効に働きます。効率よく解を求めるために競争が必要です。しかし現代の仕事に、明確な解が存在するものは ほとんどありません。誰しもが試行錯誤し、クリエイティビティを発揮しながら、最良と思われる解を求めて働いています。

 

それでは、クリエイティビティを要求される仕事(講演中では「右脳的な」と形容)には何が必要なのでしょう。

自主性,成長,目的

だとダニエルは述べます。

自分にとって重要だからやる。面白いからやる。成長できるからやる。そういった内在的な動機づけが、パフォーマンスを向上させるのです。

同様の議論が、ダン・アリエリーの「仕事のやりがいは何か?」でもなされていました。

 

自分にも経験があります。自分が面白いと感じた仕事に関する内容は、業務時間外でも進んで 勉強をしていました。勉強したから給与が上がるわけではありません。(成果を出して、特別報奨が出る可能性はありますが。)単に「面白いからやった」のです。

逆に、「退屈だ」と感じた仕事は、目に見えてパフィーマンスが落ちました。どんな仕事にもやる気を出せ!と怒られそうですが、モチベーションが異なるのでどうしようもないです。

落合陽一氏が著書「日本再興戦略」(https://amzn.to/2QSjC8a)で、モチベーション格差の時代と述べているように、これからの時代 やる気の有無が格差を招くのかもしれません。

 

「面白い」からやる

10月から始まったEテレ「沼にハマってきいてみた」が最近のお気に入りです。ハマっている人の話は熱くて、こちらも引き込まれますよね。もう終わってしまいましたが、TVチャンピオンも好きでした。

「面白い」,「ハマっている」には熱量があります。Facebookのマーク・ザッカーバーグも、好きなことをやることを、親に一切反対されなかったようです。

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「全員が全員 好きなことをやったら社会がもたない」は当然の指摘です。

私の立場は「面白いこと、好きなことを存分にやりましょう。但しそれで他人に迷惑をかけないようにしましょう」です。

義務教育が横並びの教育を促進すると仰る方がいますし、一部 正しいでしょう。しかし 他人とのつながりを学ぶという意味で、義務教育は必要だと思います。

仕事の中には、誰もがやりたくない仕事も当然存在します。こういった部分をAIに置き換えていけば良いのでしょう。AIに仕事を奪われると悲観的な議論がなされることが多いですが、単純作業などの面白くない仕事はどんどん機械に任せるべきです。

 

「好きなことだけをしても、お金にならない,生活できない」は、一番の問題ですね。社会構造の変革が必要なので、今すぐに解決できるものではありません。

見通せない未来に対して、自分の価値を高めていくことが 大切です。マイナーの分野でも 極めれば オンリーワンの価値になります。価値を高め続けるためにはモチベーション,やる気が必要です。それこそがモチベーション格差の本質なのかもしれません。