2018年9月3日 株式会社DataSignが運営する、個人向けパーソナルデータ管理サービス『paspit』が正式ローンチされました。アーリーアダプターとなるべく、早速登録してみました。
情報銀行とは
本人の同意を得て預かった個人データを企業に提供する「情報銀行」と呼ばれる新たな事業に、信託大手の「三菱UFJ信託銀行」が来年度中にも参入する方針を固めました。
(中略)
具体的には、スマートフォンの専用アプリを使って個人に、健康診断の結果や月々の支出の内訳など、企業に提供してもいいデータを登録してもらいます。
出典:NHKニュース
太田祐一(株式会社DataSign Founder代表取締役社長):発表内容
総務省: 「情報銀行」の社会実装に向けた取組
野村総研:「情報銀行」は消費者に受け入れられるか?
みずほ銀行:資料
要は個人情報を提供する代わりに、何らかの報酬が得られる仕組みです。
総務省の資料を見ると データを活用して、スポーツのファンクラブ化,ライフサポート,トラベルエージェント,地域サービスの効率化,ヘルスケア が挙げられていました。
個人からすると、パーソナルデータを集約できる,自身で管理できる,情報を提供すれば 直接/間接的に報酬が受けられる等のメリットがあります。対して企業側から見ると、各企業が個々に持っているユーザー情報を包括したデータを収集できます。
例えば 物を購入する時、Amazonと楽天の商品ページを開き 価格比較したとします。仮にAmazonで購入しても、楽天は当然 所有している、というデータを有していないため、ずっとオススメ商品として掲載され、煩わしい思いをした方も多いのではないでしょうか。
このようなパーソナルデータが統合されると、完全にパーソナライズ化された広告を打つことも可能となります。
電通や三菱UFJ信託銀行も 参入の意思を表明しています。広告事業は従来のマス広告がジリ貧になることは目に見えており、早急にパーソナライズ化した広告への移管が迫られています。そういう意味で電通の参入は自然な流れに思えます。
(2018.9.11追記)
日立、東京海上日動、日本郵便なども実証実験を開始したようです。日経新聞「日立、個人データ銀行で実証実験」
「個人情報を預ける」ことに是非はあるでしょう。一括管理しているため 一度に全てが漏洩する危険性があります。また情報銀行側が、勝手に個人情報を 他所に提供する可能性もないとも言えません。
しかし同様の事業はGoogle,Apple,Amazonは既に行っています。
クレジットカード情報,検索/購入履歴。運動履歴などのライグログ,位置情報も合わせれば、本人よりもパーソナルデータを把握しています。また、これらの情報は企業側の手中にあります。Facebookの大規模な個人情報流出(livedoor NEWS)を受け、パーソナルデータ管理の重要性が改めて問われています。
個人が管理するか、企業の管理に任せるか。今後どちらが本筋となるのでしょう。
paspit
paspitの機能は以下の通り。
- 簡単ログイン(パスワード管理機能)
- 提携企業オファー機能
- 登録メールアドレス漏洩検知
公式ページにアクセスし、Chromeの拡張機能を追加します。そのため現状ではChromeでしか利用できません。
ログインするとこんな感じ。下に実際に登録したサービスの一覧が出ています。
それぞれのサービスには、URL,サービス名,ID,パスワード(,メモ)を入力します。
実際にIDとパスワードを入力しサービスのアイコンを押すと、登録したURLが開きます。ただ、IDとパスワードが 入力欄に勝手に入力される訳ではありません。
現状では、パスワード情報の集約のみといった感じですね。
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拡張機能を有効にしていると、パスワード入力画面でサービスを登録するか表示が出ます。
仕様上 仕方ないのでしょうが、paspitのページでも表示が出たので少し笑いました。
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「オファー」はこんな感じ。今のところ 何も来ていません。
機能一覧によると「利用者が登録した個人情報、アンケート情報等に基づき、提携企業からキャンペーン情報などの様々な通知が送られてきます。」とのことですので、そのうちアンケートが実施されるのでしょうか。
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「マイデータ」です。結構ざっくりとした分類。
・住所は 都道府県から選択
・ライフスタイルは、「学校で勉強」「働いている」「家事・育児」から選択
・ライフイベントは、「大学卒業」「結婚」「子育て」「家の購入」「車の購入」から経験したものを全て選択
となっています。
まとめ
paspitに登録してみました。プランは今のところフリーのみです。有料会員サービスがあるとすると、どういったサービスになるのでしょう?
開始2日目ですので、今のところ サービスを登録したのみです。アンケート実施や実際にオファーがあった際に、改めて記事にしたいと思います。
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