週に一本は映画を観よう!
今回は日本では2017年に公開された、「サイバー・リベンジャー」の感想です。
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※管理人が鑑賞したときは無料で公開されていましたが、無料対象は定期的に入れ替わるため注意してください
パニック物かストーカー被害の警鐘か
狂気のサイバー復讐者!
あらすじ(公式サイトより)
気鋭の実業家マイクは株式上場を控えた重要なプレゼンで不慮のシステムトラブルに見舞われる。途方に暮れていたところ、新入りの派遣社員エドが天才的なIT技術でトラブルを解決。エドの能力を高く評価 したマイクは、IT制御された自宅のシステム故障もエドに修理してもらう。喜び、エドを正社員にすると約束するマイク。だが、 エドの望みはマイクの美しい娘と仲良くなり、妻に気に入られ、家族の一員になることだった。呼ばれもしないのに一家に付きまとうエド。その異常な行動をマイクは叱責し、エドに解雇を告げる。失意のエドは逆上し、復讐の鬼と化す。IT 技術を駆使しマイクたちを脅かす。
先代007 ピアース・ブロスナンが主演を務めるサスペンス・スリラー!
007引退後の『ダイヤモンド・イン・パラダイス』では、まだまだボンドのイメージが強かった彼ですが、『マンマ・ミーア』に引き続き 渋く老成したピアース・ブロスナンを堪能できます。ラフなスーツ姿が最高に渋カッコいいですね!
007時代は、良くも悪くも堅物でスマートなイメージが強かったでしょうか。しかし年齢を重ね、有能ではあるものの、ちょっと間の抜けたオヤジを演じさせればピカイチかと思います。
本作では、サイバーリベンジャー,IT技術を駆使する狂気の復讐者から、家族を守るため奮闘します。
↓ 以下、作品のネタバレを含みます。
「テクノロジーテロを見せるパニック物」を期待し視聴しましたが、蓋をあけてみれば テクノロジーはあくまで復讐者の個性付けに使用され、本質は復讐者の狂気だったかと思います。
古くは『エネミー・オブ・アメリカ』、『ダイハード4.0』、『イーグルアイ』など、既存のハイテクサスペンスでは、国家レベルの事態が背景に設定されていました。
本作は、あくまで 個人(マイク) vs 個人(エド)。
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エドは元NSA(アメリカ国家安全保障局)仕込みの技術で、ピアース・ブロスナン演じるマイク・リーガンと 彼の家族を追い詰めます。
彼が本作において最高テクノロジーを有するように途中まで描写されます。事実 同僚から優秀と称されたり、車をハッキングする(おそらく カーナビの違法アップデート時に バックドアを仕込んだのでしょう)など、並の警察では対応できない高い技術を持ち合わせています。
しかし、NSAはまったくの嘘。技術もITセキュリティー専門 ヘンリックには及ばない模様。
ここが既存のハイテクサスペンスとは異なります。あくまで高度なテクノロジーを有するエドが、個人的な怨みをもってマイクに復讐を仕掛けます。
やり方がねちっこいんですよね 笑。自慰のシーンを流出させたり、ガン検診結果を偽装したりと、やってることは子供の嫌がらせ(マイクから強迫を受けた後は、ブレーキシステムを壊す暴挙に出ましたが)。陰湿な無邪気さが恐ろしい。
エドの最終的な目的は、あくまで上場申請を潰すことだったのでしょう。
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唐突に表れたのが、ミカエル・ニクヴィスト演じる掃除屋ヘンリック。
正直 かなり胡散臭く、普段のマイクなら決して頼ることはなさそうです。この時の彼は、家族を危険に曝され 藁をも掴む思いだったのでしょう。初見では エドの差金かもと邪推しました 笑。
ヘンリックの助けを借り、何とか証拠を掴むマイク。
追い詰められたエドの狂気が好きですね。暴行を偽装するため、目を見開き無表情で顔を打ち付ける様が ただただ恐ろしい。
…ですが、ラストの決闘シーンはちょっとシュール過ぎて笑ってしまいました。
嵐の夜、何故か半裸のエド、セクシーに縛られるマイクの家族。うーん、ラストは肉弾戦と相場は決まっているものの、もう少し何とかならなかったかな 笑。
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ミカエル・ニクヴィストは、本作が公開された2017年に肺がんで亡くなられました。まだ56歳だったとのことで非常に残念です。
構成として、ヘンリックの登場は少し唐突過ぎ? せめて序盤から存在を匂わせていれば、スムーズに受け入れられたかもしれません。
俳優陣はすごく良かったです。特にエド演じるジェームズ・フレッシュヴィル。彼のサイコ笑顔は見るものに嫌悪感を抱かせますね。
エドの狂気,ストーカー心理が恐ろしい。身近に恐怖は潜んでいるものです。
アナログ親父 vs ハイテクサイコ のプロットは面白いので、問題解決に もうひと盛り上がりあれば、より楽しめたかと思います。