女子高生と野生動物の知恵比べ、JK罠狩猟漫画「罠ガール 1巻」感想

 

女子高生 × 罠狩猟。気にならない訳がない!

女子高生に変わったことをやらせる漫画は数あれど、その中でも異彩を放つ「罠狩猟」!1巻を読了したので感想を書きたいと思います。


主人公は、田舎町で暮らす女子高生の 朝比奈千代丸。畑を荒らす野生動物を捕獲するため、若干18歳にして わな猟免許を保持している「罠ガール」です。

1巻での他の主要人物は、幼馴染の 昼間レモンと、生徒会長の 夜空つむじ。レモンにはわな猟の知識がなく、読者目線のキャラクターとなっています。つむじは何故かジビエに精通しており(巻後半に理由が明かされます)、千代丸を振り回す狂言回し的な役割ですね。

wikipediaによると、わな猟免許は狩猟免許の1つだそうです。狩猟免許の受験資格は20歳以上ですが、網猟・わな猟に限っては18歳以上とされています。ということは「女子高生わな猟師」は実際にあり得るんですね!


「山賊ダイアリー」、要素の一つとして狩猟がある「ゴールデンカムイ」と異なり、現代における わな猟に焦点を当てており、これまでの狩猟系漫画とひと味異なったテイストになっています。

狩猟には、対象となる動物に関する深い知識が必要です。子どもの頃、雑木林でカブトムシを捕まるために、「ハチミツ」を「クヌギ」の木の幹に塗り、「早朝」に様子を確認に行った方も多いのではないでしょうか。これはカブトムシが、餌としてハチミツ・クヌギの木の樹液を好み、夜行性である習性を利用した捕獲法ですよね。

また、わな猟は「待ち」の狩猟です。意気揚々と乗り込んだクヌギの木に、一匹もいなかったなんでザラにありました。せっかく早起きしたのにー!と悔しがった思い出が蘇ります(笑)本書でも、千代丸はイノシシが罠にかかるのを何日を待ち続けます。その間、罠に工夫をこらし、行動パターンを検証したりします。この獣との真剣勝負が面白いんですよね~。

やだっ!つぶらな瞳……


「狩猟マンガが異例のベストセラー! マタギ、罠ガール、山賊ダイアリー【ジビエ入門】」(マイナビ農業 *外部サイト)によると、作者である緑山のぶひろ さんは、現在も福岡で農業を行いながらマンガを描いており、ご自身もわな猟免許を持っているそうです。

千代丸がわな猟を行うのも獣害対策のためです。私の実家の田舎でも、猪駆除のために山との境界に柵をめぐらせ、猪箱罠を設置していました(本書で知りましたが、箱罠ってかなり高いんですね!)。農家にとっては命取りとなる「獣害」を知るキッカケになれば良いと思います。


女子高生 × 罠狩猟という異色の組み合わせながら、作者の実体験を伴った説得力のある作品となっています。

絵も大変 読みやすく、動物のリアルな描写からは生の躍動を感じます。リアルだからこそ獣たちとの勝負に緊迫感を産み出します。個人的には単行本表紙の雰囲気がすごく好きですね~。森の爽やかな息吹を感じます。

農家である千代丸にとって獣害はまさしく「災害」ですが、獣との真剣勝負が2巻以降も楽しみです!