2018年4Qに、コード決済分野に大きな動向変化が見られました。各サービスの動向について、まとめてみたいと思います。
コード決済サービス
今回は、以下のサービスに触れていきます。
- PayPay
- 楽天ペイ
- LINE Pay
- d払い
- Origami Pay
なお各サービスの簡単な比較は、以下の記事をご参照ください。
PayPay
PayPayを語らずして、今年のコード決済は語れないと言っても過言ではありません。「100億円あげちゃうキャンペーン」で一夜のうちに話題を掻っ攫いました。
驚異の20%還元,1/40でフルキャッシュバック,ビッグカメラで使用開始され高額電化製品でキャッシュバックを狙う方法が話題となりました。
さらに2%還元のKyashを組み合わせることで、2重,3重ポイント還元を狙う方法もあります。⇨ 最大23%還元!
方式が乱立していたコード決済分野、さらに比較的後発サービスだったPayPayが一躍主役に躍り出ました。
100億円あげちゃうキャンペーンについて、大変興味深い考察記事がありました。
「ペイペイ「100億円あげちゃうキャンペーン」には、どんな裏があるのか」(Yahooニュース)
簡単にまとめると、
- 決済アプリは利用までのハードルが高く、仮にDLしても実使用まで至らないケースが多い。そのため従来のDLを促す広告費以上に宣伝コストがかさむ。
- そこで、大胆なキャッシュバック戦略を用いることにした。
- 重要なのが、予め100億円限定と銘打って宣伝費を最初に設定した。※例えば期間限定だと、想定以上に費用がかさむ可能性がある。
単なるばらまきではないということですね。今回の施策はアーリーマジョリティーに浸透させるに十分なインパクトを残したでしょう。
他サービスの躍進がなければ、一度でも使用したユーザー,特にパイの大きなマジョリティ層はキャンペーン終了後も継続してPayPayを使用することでしょう。
またヤフオク,Yahoo!ショッピングでPayPayが使用可能になるなど、ヤフーサービスを中心に使用可能店舗を増やしています。
楽天ペイ
楽天の楽天ペイ。還元率も楽天カード支払いで1.5%と高め。
さて、ここ数ヶ月の楽天ペイの動向を見ていると、順調に使用店舗を増やしているようです。
●ジュンク堂書店
●ビッグエコー
●アリさんマークの引越社
●…
など、比較的馴染み深い業界でも使用店舗が増えています。これまでは居酒屋など飲食店が中心でした。
楽天ペイの強みは、還元ポイントである楽天ポイントそのものにあると言えます。
投資信託購入,楽天モバイルの料金支払い等など、楽天経済圏はヘビーユーザーになればなるほど恩恵が受けられ(逆に言うと一度入ると抜け出せない笑)、ポイントの応用先が広いです。
せっかくポイントを貯めても、使用できないと全く意味がないですからね。
管理人の楽天ポイント利用については、以下の記事でまとめています。
LINE Pay
PayPayのキャンペーンまでは、最大の還元率を誇っていました。ポイント還元率はマイカラーと呼ばれるランクによって異なり、最大5%です。
ランクについては、以下の記事をご参照ください。
なおPayPayのキャンペーンに対しては、これ以上ポイント還元で追随しないことを明言しています。
追記:Payトク LINE Pay残高20%還元を実施することを発表しました。
LINEは、保険,証券,ウォレット,家計簿サービスなどフィンテックに力を入れています。コミュニケーションプラットフォームから、マネーも含めた総合プラットフォームを目指しているのでしょう。
他にもLINEトラベル,myBridge,LINEチケットなどなど、新サービスをぞくぞくリリースしているLINE。(たぶん使いこなせていませんw)
d払い
ファミリーマートで、1週間限定で10%ポイント還元などを実施しているものの、前述3サービスと比較すると認知度,使用率は低めでしょうか。
ミニストップでのコード決済にも非採用と、普及にも苦戦している印象です。
しかし d払いが唯一異色なのが、Amazonでの支払いに使用できる点です!
サービスの性質上、Amazonに楽天ペイ,PayPayは採用されにくいと考えます。(※Amazon,楽天市場,Yahoo!ショッピングが、eコマース分野のコンペチターなので)
半国営企業の強みを生かし、特異性を出してほしいと思います。
Origami Pay
日本におけるコード決済の先駆者Origami Pay。
水原希子さんを起用したCM、吉野家での導入が今クオーターのハイライトでしょう。しかし同タイミングでPayPayのキャンペーンが開始され、話題がかき消された印象です。
Origami Payは銀行提携によって、支払い金額をリアルタイムに口座から引き落とすサービスを開始したりと、独自の強みを持っています。また加盟店ネットワークの無償オープン化を実施と、ユーザーに直接見えない分野での活躍が目立ちます。
しかし、ユーザーへの訴求にはポイント還元が直接的でわかりやすいのでしょうか。その証拠に、以上のニュースの中で もっとも話題になったのは吉野家です。
決済サービスは、店舗以上にユーザーへの浸透に難しさを感じます。
まとめ
2018年9~12月の話題を中心に、各コード決済サービスの動向をまとめてみました。
PayPayのキャンペーンの上手さに舌を巻きました。後発サービスながら、一夜にしてコード決済の主役に躍り出ました。”ばらまき”とは決して言えない、計算された戦略です。
他サービスもそれぞれの強みを生かして、ユーザー獲得を目指してほしいです。このような混迷した状況が見られるのも、サービス黎明期の面白さですね。
最後の巨人「7ペイ(セブンペイ)」が、どのようなサービス展開を実施するのかにも期待です。※7ペイ…セブン・フィナンシャルサービスとセブン銀行が提供する決済サービス。2019年リリース予定。